ブログ » 売春者の気持ち

カンボジアでの10日間は毎日が充実していて、あっという間に過ぎてしまいました。冬のイギリスは 、昼間でも空がどんより暗くて日本よりも気温が低いので、夏好きな私にとっては辛い時期です。。。ああ、カンボジアで浴びた太陽がすでに恋しい。。。カンボジアの人(カンボジアに住んでいる外国人も含め)は乾期である一月は寒いと言っていましたが、カンボジア人がこの暗さと寒さを体験したらどうなるのだろう、と想像してしまいました。

実は、今回のカンボジアへの旅の目的のひとつは大学の卒業論文に向けての現地調査でありました。英国で開発学という分野を学ぶきっかけとなったのも、東南アジアの人身売買問題についてどのように改善していけるか興味があったからで、一度どういうところで、どういったかたちで売春が行われているか現場を見てみたいという強い興味を抱いていました。軽い気持ちで関わっていける問題ではないのは承知ですが、百聞は一見にしかず。今やインターネットでたくさんの情報を得ることはできますが、実際に売買春を行っている者たちがどんな心情なのかなんて、わかりませんよね。 これから金銭と引き換えに知らない男性と寝なきゃいけない ,という少女・女性はどんな気持ちなのか、そしてこのような少女・女性たちを求めてやってくる大人たちとはいったいどのような気持ちでお金を渡しているのだろう、というデータでは表せないもっと心理的なことが気になっていたのです。今回は、日本人男性二人の協力を得て実際に取引が行われているレストランに訪れることができましたので、その時の様子をお伝えしたいと思います。

プノンペンの中心街から少し離れたところにある、とあるレストラン。フリーマガジンなどにも載っているお店の広告を見ただけでは、ここが売買春を求めてやってくる人たちが集う場所だなんて、想像もつきません。ここはディスコとバーが供設され、旅先の大人の遊び場所といった感じの場所です。といっても、ドレスコードは無く、気軽に飲みに行ける場所といったところです。荷物を預け、エントランスをくぐると野外スペースがあり、ここで食事をとることも可能です。大きなスクリーンでは映画が上映され、星の下でお酒を飲みながら楽しめる、ゆったりとしたスペースです。ただ異様なのは、露出度の高い洋服を着た派手なメイクの女性たちと中年の外国人男性たち(アジア人も白人もいましたが、カンボジア人はこの場所には来ないようです)で埋め尽くされていること、女性たち(カンボジア人が多く、次いでベトナム人、時には黒人のかたもいるようです)の笑顔が何か不自然な感じを受けました。カウンターバーでは、女性たちがお客さんに話しかけ、男性たちは思い思いにコミュニケーションを楽しみ、長時間楽しそうに飲んでいる人もいれば、色々な女性を上から下まで舐めるように見ている人も。ここで気に入った女性がいれば直接交渉し、男性の滞在先ホテル又は近くの短時間専用の宿に向かうようです。数年前までは、200から300人の女性がこのレストランにいたそうですが、私が行った時は100人くらいで、全体的に少し静かだったようです。幸運にも、一人の女性と直接お話をすることができました。彼女は、おとなしく、格好も素朴な感じでこの場所では浮いている感じでした 。年は28歳で私とそんなに変わりません。一年程まえからここに来ているらしく、最初は英語も話せなかったので怖かったと言っていました。明らかなのは、彼女はこの商売を好きでやっているのではない、ということでした。ここで見た派手な女性たちはノリも良く、大概、男性たちはこのような女性に寄っていきます。しかし、彼女の様な控えめな女性は何日もお客さんが取れない場合もあるようです。一緒にいた日本人男性がこんな仕事は早くやめて結婚しないのか、と冗談まじりで尋ねると、こんな仕事をしている自分と結婚してくれる人なんていない、と彼女は答えました。なんだか、彼女のことが他人事のように思えなくなってきて、そして彼女の心の痛みは自分が感じているもののように思えて、結局隣に座ったまま黙り込んでしまいました。当初はもっと色々なことを聞きたいと意気込んでいた私でしたが、これ以上聞いても彼女に嫌な思いをさせるだけ、自分もつらくなっていく一方なので沈黙のあと“身体には気を付けてね”と言って去りました。何もできない自分が悔しかったです。彼女にお客さんがつけば彼女にお金が入る、しかし彼女の心の傷は深くなる一方でしょう。。。どちらを願えば良いのか分かりませんでした。。。

 

逆に、男性とも話をするチャンスがありました。彼は、50代のドイツ人で一年に一回休暇でカンボジアを訪れるようです。年をとった僕たちには、こういう場所が必要なのだよ、と話してくれました。こういったセックスツーリズムというものにたいして実は、私は100%否定的になることはできません。学校に行ったことが無い少女に、どうやったら家族を支えていくだけの収入を得られるのでしょう? もし彼女たちから売春業を取り上げると、他に収入を得る手段がなくなってしまいます。売春という職業が社会で必要とされていることも事実です。こういった楽しみがあるからこそ、国の経済に貢献している男性たちが仕事を頑張っていけられる、という結果的に売春が社会全体に貢献しているという考え方もあるようです。このように、需要があるからこそ、売春に手を染める人が断たないわけで、いくら法で厳しく取り締まっても男性の欲が無くならない限り、この職業は無くならないのだと思います。そんなことは、無理ですよね。誰を責めて良いのかなんて、誰にも分かりません。

昨年8月にボランティアで関わらせていただいた“Daughters of Cambodia (http://www.daughtersofcambodia.org/)” では、望まない売春を強いられている人たちに、教育や職上訓練の機会を与え売春業から足を洗う手助けを行っています。そこで得たスキルを使ってたくさんの元売春経験者たちが社会に復帰し、自信と笑顔を取り戻しています。このような団体で助けられるひとはほんの一握りかもしれません。多くの人は売春業から抜け出せないままでいます。しかし、少しでも多くの人が幸せな人生を送れるよう、こういったNGOの活動はどんどん広がっていって欲しいと思いますし、私も関わっていきたいと思っています。

こちらはカンボジアの売買春について、興味を抱くきっかけとなったソマリー・マムさんの著書です。興味のある方はぜひ読んでみてください。

http://www.amazon.co.jp/%E5%B9%BC%E3%81%84%E5%A8%BC%E5%A9%A6%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%A7%81%E3%81%B8-%E3%82%BD%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%BC-%E3%83%9E%E3%83%A0/dp/4163664106

 

りか

 

 

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